ラインセンサカメラはFA、医療、食品、印刷等の外観検査装置で幅広く使用されています。
ラインセンサカメラはエリアセンサカメラに比べて分解能が高いため、高精細画像入力・微小欠陥検出に適しています。一方エリアセンサカメラに比べて露光時間が短いため感度が劣り高速スキャン・高画素数カメラにおいてS/Nが低下するという欠陥があります。
そのためFPD・半導体検査や高速移動物体の異物検査等のように高解像度・高速性が要求される検査において欠陥検出精度が低下するという問題が生じます。このようなシステムでは一台のカメラでは解像度が不足するため複数台のカメラが必要になることが多く、カメラの低価格化の要望が高まっています。
これらの問題を解決するためにラインセンサカメラ周辺回路に独自のNTL方式を採用することによりノイズが少なく低価格のラインセンサカメラを開発しました。
エリアセンサカメラよりラインセンサカメラが適している例を参照ください。 | |||
円筒に印刷された文字等の画像入力 | |||
●エリアセンサカメラで撮ったとき ●円筒を回転させてラインセンサカメラで撮影すると
きれいな画像が撮れません |
落下する対象物の画像入力 | |||
●エリアセンサカメラで撮ったとき ●ラインセンサカメラで撮影すると
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例として毎秒5cmで移動する10cm幅のシート上の100ミクロンのキズを検出する場合に必要なカメラの画素数、操作速度について考えます
1.カメラの画素数
キズ/シート幅=100μm/100mm=1/1000ですので画素数1000以上のラインセンサカメラが必要になります。
2048画素のラインセンサカメラを使用すると100μmのキズは約2画素分に相当しますが、キズをより確実に検出するにはさらに画素数の多い5000画素程度のカメラを使用してください。
2.カメラの走査速度
通常、X方向とY方向の解像度を同じ(取り込んだ画像の画素の縦横比が1:1の正方形)にします。
X方向は5,0000画素のカメラを使用すると、前述のように1画素はシート上で約20μmになります。
Y方向はシートの移動速度が50mm/秒のとき、20μm/50mm=400μSecで20μm進みます(あるいは1秒間の走査回数は50mm/20μm=2,500回/秒=400μSec周期)。
したがって、カメラに400μSec周期のライン同期信号を与えると正方形の画素になります。
この検査にはビットデバイスのラインセンサカメラDS4500(5150画素・周期速度133μSec)が使用できます。
カメラから取り込んだ画像が暗い、あるいはキズと背景のコントラストが低い等の理由によりキズの抽出がうまくいかないことがあります。
そのような場合は次のような方法を試してください。
①出来るだけ照明を強くする、照明の方向を変える、色フィルターを使用する。
②明るいレンズ(F値の小さいレンズ)を使用する。
レンズの絞りを開く(ピントの合う範囲は狭くなります)。
③カメラの走査速度を遅くして露光時間を長くする(外部ライン同期信号の周期を長くする)。
④カメラのゲインを上げる(デジタル諧調は増えますがS/N比が向上することはありません)。
⑤カメラを複数台使用する。
画素サイズの大きいDS4200(2048画素)を4台使用すると感度はDS4700(7450画素)を1台使用する場合に比べて約8倍になりま す(あるいは同程度の感度を保ちながら走査速度を約8倍に上げることができます。